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”Re” オフィスを学ぶ
一般社団法人more trees 様

オフィス移転でも活用できるカーボン・オフセットの基礎知識 〜「植樹」=「カーボン・オフセット」ではない森林管理の難しさ〜

Reduce
Relocation
2025/12/23

一般社団法人more trees 様
一般社団法人more trees事務局長 水谷 伸吉さま

カーボン・オフセットというと「植樹」をイメージしがちですが、実際は植樹してからCO2の吸収が本格的にはじまるには数十年かかります。森林を長く安定的に管理し、どのようにカーボン・オフセットにつなげていくのでしょうか?コーユーレンティアがカーボン・オフセットサービスを委託している一般社団法人more trees事務局長水谷さまに、カーボン・オフセットの現状と森林を守る活動について伺いました。

音楽家・坂本龍一氏の遺志を継いだ「森を増やす」取り組み

more treesの起源は2000年代、創立者である音楽家・坂本龍一がさまざまな社会課題に取り組む中で実施したチャリティーの一環でした。チャリティーTシャツのスローガンに「more trees」というキーワードが含まれており、Tシャツ販売で集まったチャリティー金を使って、森を増やすための活動を始めたのがきっかけです。2007年に法人として正式に発足し、以降カーボン・オフセットサービスや植樹をはじめとする多様性のある森を増やす活動を推進しています。

2023年3月、創立者である坂本氏が他界し、その後を継いだのが、坂本氏と40年来の友人であり木を使った建築で著名な建築家・隈研吾氏です。2015年ごろから国産材によるプロダクトデザインで協力関係にあった隈氏が新代表に就任し、現在も活動を牽引しています。

 

more trees設立当初から取り組むカーボン・オフセットサービス

創立者の坂本自身も、世界中で音楽活動を行う際の飛行機の利用に伴うCO2排出を個人的にオフセットしていたといいます。その影響もあり、more treesは設立当初からカーボン・オフセット事業に注力してきました。

カーボン・オフセットサービスでは、J-クレジットによる森林由来のカーボンクレジットの販売・マッチングを行っています。J-クレジットは、環境省、経済産業省、農林水産省の3省が共同で運営する国の制度です。森林由来のJ-クレジットを販売したい自治体や森林所有者とカーボン・オフセットを行いたい法人・個人をつなぐのは私たちの事業の柱のひとつになっています。

カーボン・オフセットは「植樹」とは限らない

カーボン・オフセットというと「植樹」をイメージされる人が多いかもしれませんが、実は植えたばかりの木はあまりCO2を吸収しません。木を適切に管理し、しっかりと大きな森になるまで育てていかなければなりません。

そのためカーボン・オフセットで流通している日本国内の森林に由来するカーボンクレジットの多くは、管理が行き届いていない森林などを適切に管理することによって「新たに得られたCO2吸収量をモニタリングから推定してJ-クレジット化する」という国際的にも認められた方法がとられています。

森林クレジットは相対取引で価格が決まる

J-クレジットの取引価格はJPX(日本取引所グループ)でも公開されており日々変動しますが、これはあくまで参考価格です。プロジェクトによって価格も異なり、1万3,000円/トンを超えるものもあれば、半額程度のものもあり価格に大きな幅があります。

さらに、再エネ系、森林系、省エネ系など、同じCO2・1トンのオフセットでも料金が異なります。これまでは再エネ系の取引価格が比較的低コストだったのですが、最近では価格が上がっており、森林系と差が小さくなっているどころか、場合によっては逆転するケースも出てきています。

1トンのオフセットの価値をどう見るか?

同じ1トンのオフセットでも、その裏にある価値の重さは違うのではないかと考えています。現状では、森林を活かしたクレジットよりも、たとえば森林を切り開いて創出されたメガソーラー由来のクレジットのほうが安く流通しているのが現状です。森林クレジットには中長期的なCO2吸収だけでなく、生物多様性保全や土砂災害防止、水源確保にもつながるメリットがあります。こうした「非炭素プレミアム価値」の認知拡大も、今後の重要なテーマだといいます。

流通の面からみても、国内全体における森林系のJ-クレジットは、2025年5月現在約192万トンが創出された一方、実際に消費されたのは37万トン程度にとどまっています。流通を促進することで、森林を守る現場に資金がしっかりと行き渡るようにしていくようにしていきたいです。

森林には息の長い管理が必要

カーボン・オフセットと並行して、more treesが創立以来、力を入れてきたのが国内の間伐推進です。
森林を健全に保つためには、間伐が必要です。戦後復興期、木材需要の高まりから木材価格は高騰しました。そのため、多くの人々が競うようにスギやヒノキを植林しました。「棚田を潰してまでスギを植える。銀行に預けるより利回りが良い」と考えられていた時代でした。しかし、その後木材価格が下落すると、奥山や急傾斜地に植えたスギは採算が合わなくなり、間伐されないまま放置される山が増加しました。密集したままの森林は、葉が重なり合って地表に光が届かず、草が生えない状態になります。結果として土壌が流出し、土砂災害のリスクが高まるという悪循環が生まれています。

100メートル四方に約3,000本植えるのが通常ですが、10年ほど経つとその3分の1程度を間引く必要があります。光や栄養、水の奪い合いを緩和し、より良い木を残していくのが林業のサイクルです。

 
出典:林野庁

 
【before】手入れが十分行われず、
過密状態となったヒノキの森

 
【after】間伐をして光が入り、
明るくなったヒノキの森

多様性のある森へと戻していく

こうした間伐を繰り返したあと、最終的には植えてから50年程度ですべての木が伐採され、木材として出荷されます。本来は伐った後、再び植えるのが林業のサイクルです。

しかしながら、現在、日本では伐採面積の約6割で再植林が行われていません。高齢化した所有者が「山じまい」を選択するケースも増えています。森林所有者の子供世代の多くは都市部でサラリーマンとして働いており、手間のかかる山の相続も簡単ではありません。

こうした課題に対し、more treesは2018年頃から「多様性のある森」づくりに注力しています。木材生産を一旦終了し、地域に合った広葉樹を複数種植えることで、元々あった自然に近い森に戻すアプローチです。広葉樹は最初の5〜7年、シカ避けのネットを張り、適度な草刈りをすれば、あとは放置しても健全に育ちます。スギやヒノキのように50年間定期的な管理が必要な人工林と違い、所有者の負担が圧倒的に軽減されます。

また、広葉樹林は生物多様性を向上させ、落葉による土壌改良なども期待ができます。森全体としてみた場合も、針葉樹のみの森と比べ病虫害のリスク分散といったメリットもあります。さらに100年後には、たとえばウイスキー樽に使われるミズナラなど価値の高い木材が育つ可能性も残されています。自然環境にとっても、人間にとってもメリットのあるアプローチです。

 
伐採後、再造林されないまま放置された禿山

企業と地域をつなぐ活動を

これまでご説明したとおり植樹だけでは、森林の課題は解決されません。

そのため、

  • カーボン・オフセットの推進
    (カーボンクレジットの流通促進・森林現場への資金確保等)
  • 森林の適切な管理
    (間伐や多様性のある森への回帰等)
  • 木を使う場面の創出
    (プロダクト開発・ノベルティ制作等)

の3つがあいまって持続的な森林の保護が実現できます。

企業の皆様には、カーボン・オフセットの価格単価だけで判断するのではなく、長く森を支援する視点をもっていただけると大変ありがたいです。

 
木のプロダクト例:more treesオリジナル商品つみき(隈研吾デザイン)

 
木のスツール

自社の名前を冠した森を

私たちの取り組みでも、森林の管理に困っている自治体や森林所有者と企業をマッチングし「●●の森」としてさまざまなプロモーションに活用いただく支援も行っています。
第一生命さまや青山商事さまなどの大手企業から、中小企業まで規模・業種を問わず多様な企業が参加しています。

これらの企業さまは単なる社会貢献にとどまらず、多様な目的で森林活動を活用していただいています。採用活動、顧客満足度向上、従業員のチームビルディング、マーケティング施策など、森林との関わりが企業価値向上の多角的なツールとなっています。従業員の交流促進やノベルティへの木の活用などさまざまな用途で森とのつながりを作っていただいています。

青山商事さまのケースでは、スーツの下取り重量に応じた寄付キャンペーンと連動させたり、高知県での植林地を学生向けフィールドとして活用したりもしています。参加学生の入社率向上にも貢献しているとお聞きしています。

 
 
植樹の様子

レンティアとのパートナーシップ

コーユーレンティアさまとのご契約は2024年に始まりました。「レンタル品の配送時のCO2排出量1,000トンをオフセットしたいというご相談が最初のきっかけでした」。2026年のオフセットは、すべてを森林クレジット100%で手配しています。

more treesでは我々が協定を結んだ全国の地域を中心に、企業のニーズと地域の事情を勘案しながらマッチングを行っています。実際にコーユーレンティアさまでは、四国を中心に3か所からのカーボン・オフセットを購入いただいております。

 
企業の森マップ

森と企業をつなぐために

東京証券取引所のプライム市場では、一定規模以上の企業に対してCO2排出量の開示義務化が進められています。こうした制度面での後押しもあり、森林の注目度はさらに高まっていくのではないかと思います。

しかし、脱炭素だけでなく、生物多様性の観点からも森林の価値を評価していただける流れを作っていければと考えています。CO2削減という物差しだけでは測れない、森林が持つ多面的機能を社会に認知させていくことが重要です。

コーユーレンティアさまにも、「オフィスをつくるときに、森を考える。」そういうきっかけをたくさんつくっていければありがたいです。

一般社団法人more trees 様

一般社団法人more trees 様

所在地:
東京都港区赤坂4-7-7 H&K赤坂レジデンス201
事業内容:
  • 国内外での森林保全(間伐/整備、植林など)
  • 森林に関するセミナー・イベント、森林を訪れるツアーの企画・開催
  • 国産材アイテムの企画・販売
  • 森林由来のカーボン・オフセットサービスの提供
  • 被災地支援活動
  • その他、森林に関する事業全般

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